07.02.06 《狭窄度・急性心筋梗塞はそれでも襲ってくる》
心筋梗塞は高血圧や糖尿病など生活習慣病の“なれの果て”というイメージがあるが、必ずしもそうではない。それほど生活習慣病が悪くない人でも突然、発症することがあるというのだ。
Sさん(49歳)は、ある朝居間で新聞を読んでいたら、胸が締めつけられるような痛みに襲われた。30分ほど横になって休んで、落ち着いてから妻の付き添いで近くの内科医を受診。心電図検査を受けたが、異常なし。しかし、帰宅後もしばしば胸が痛み、ついに夕飯の途中に激痛が走り、イスから転げ落ちて、救急車で運ばれた。急性心筋梗塞だった。
170センチ、78キロのSさんはやや肥満気味で、総コレステロール値が240(基準値130〜219mg/dl)、血圧が147/85(基準値100〜139/60〜89mmHg)と軽い高脂血症と高血圧があるが、それほど深刻な数字ではない。狭心症などのリスクを調べる運動負荷試験もセーフ。それでも急性心筋梗塞に倒れたのだ。
東京医大八王子医療センターの高沢謙二教授が言う。
「これまで心筋梗塞は、心臓の冠動脈の動脈硬化が進んで、血管の内腔にベットリとコレステロールがたまり、血管を完全に塞いでしまうような状態の人が発症しやすいと考えられてきましたが、そうではないことがわかってきました。発症者と冠動脈の狭窄度を調べると、発症者の5人に3人は狭窄度が25%以下だったのです」
狭心症の症状が出るのは、狭窄度90%以上。狭窄度25%では、運動負荷試験はセーフだし、階段の上りで息切れすることもない。自覚症状がまったくない元気な人でも、急性心筋梗塞にやられる恐れがあるのだ。では、血管がほとんど詰まっていないのに、発症するのはなぜか。
不安定プラークが原因です。これは動脈の血管内にできた“おかゆ状のこぶ”のことで、悪玉コレステロールがアンコのように固まり、ギョーザの皮のような薄い皮膜で覆われたもの。何かのきっかけで皮膜が破れると、そこに血液の凝集反応が起こり、一気に血栓ができる。突然生まれた血栓が急性心筋梗塞を引き起こすのです」(高沢教授)
皮膜が破れるきっかけは何か。
「一般的に心筋梗塞は朝に発症しやすい。たとえば寝起きや洗顔、食事中などちょっとした動作が引き金になり、必ずしも激しい運動が引き金になるとは限らないので要注意。安静時に胸痛が起こり、その痛みがだんだん強くなった場合は、放置せずすぐに救急車を呼んでください」(順天堂大学医学部・代田浩之教授)
生活習慣病でも基準値をほんの少しオーバーする程度なら放置する人が多いが、それが確実にリスクになる。この急性心筋梗塞に襲われないためにも、生活習慣病はきちんと治すことだ。
詳しくは⇒